本論文は,不可視インクで多角形カードの内側と外側に符号化の印を書き込むことで極性を持たせ, ブラックライトの部分照射による極の開示を用いるというアイデアに基づき,既存のカードベース暗 号プロトコルが苦手としていた,多値の加減算と述語計算の両方を手軽に実現する方式を提案してい る.100 円ショップなどで廉価に手に入れることができる不可視インクの利用というcuteな発想によ り,カードプロトコルの特長である手軽さを損なうことなく実用的な多値の述語計算等を実現してお り,コンセプト論文賞の趣旨に相応しい.
論文賞
CSS2018論文賞 受賞者
CSS2018最優秀論文賞
1A3-3: 超音波の分離放射による音声認識機器への攻撃:ユーザスタディ評価と対策技術の提案
2B1-4: 実世界でも攻撃可能なAudio Adversarial Example
CSS2018優秀論文賞
3E3-5: 独自のカーネル用仮想記憶空間を用いたカーネルモジュール監視手法
2C2-2: Adversarial trainingを用いた未知ファミリ検知手法
3A2-3: CBDH仮定に基づく効率的な閾値公開鍵暗号
2D3-3: 可視画像からの指静脈認証のなりすまし可能性の検討とその対策手法
CSS2018学生論文賞
3B1-3: PTRレコードの連続的設定を加味した動的IPアドレスブロックおよびクラウド領域検出
3A4-3: SeQR: ショルダーハック耐性を持つQRコード生成方法
1E3-3: キャッシュのモニタリングによるキャッシュサイドチャネル攻撃の検知
2C1-4: IDNホモグラフ攻撃の大規模実態調査:傾向と対策
2A2-3: Sliding window法からの漏洩情報を用いた秘密鍵復元攻撃の改良
2A3-2: Estimating Secure Parameters for the Multivariate Encryption Scheme EFCp-
2E3-2: 言語圏ごとのパスワード生成・管理の傾向比較
CSS2018コンセプト論文賞
4A1-1: 不可視インクを用いた効率的なカードベース暗号プロトコル
コンセプト論文賞講評
CSS2018奨励賞
2B3-2: 行動表現文法ELLを用いた攻撃シナリオ再構築技術
2B2-4: アグリゲート署名を用いたBGPsec AS_PATH検証手法の提案と実装評価
3E3-3: ログ出力の抑制によるSELinuxの不要なポリシ削減手法
4C2-1: コード断片からのコンパイラ推定手法
2C1-2: OCRを利用したホモグラフIDNの検知法
2C4-4: Linuxにおけるファイルレスマルウェア対策
2A1-3: DPA対策マスクの変換アルゴリズムの改良と認証方式への適用
2E1-3: 環境情報を用いた脆弱性検出のチャットボット
2D4-3: Towards Practical Secure Automatic Speech Recognition
論文賞概要
CSS2018では下記の論文賞を設けています.
CSS優秀論文賞・学生論文賞・コンセプト論文賞
CSS論文賞には最優秀論文賞及び優秀論文賞,学生論文賞,コンセプト論文賞があり,CSSプログラム委員会が選考します(コンセプト論文賞のみCSEC幹事団も選考に加わります).CSS論文賞は,下記に示す他の論文賞との重複受賞が可能です.詳しくは,CSS論文賞についてをご参照ください.
MWS論文賞
MWS実行委員会では,MWS優秀論文賞,MWS学生論文賞,MWSベストプラクティカル研究賞を設けています.MWSトラックにおける発表論文のうち『マルウェア/サイバー攻撃対策に有効かつ新規性があるもの』,『新たな技術の研究・開発を喚起する研究成果であるもの』,『他の研究の参考になる研究成果であるもの』,『マルウェア/サイバー攻撃・対策の現状・実態を明らかにする実験・調査であるもの』などの評価基準により,MWSプログラム委員会が各1件を選出します.なお,MWSベストプラクティカル研究賞については,論文としての完成度ではなく,実用性や有用性に優れた研究成果を評価するものです.詳しくは,MWS2018のWebページをご参照下さい.
PWS論文賞
PWS実行委員会では,PWS優秀論文賞,PWS学生論文賞を設けており,PWSトラックにおける発表論文のうち『プライバシー保護技術の発展』や『プライバシーリスクの正しい啓発』にとくに貢献すると認められる論文1編または数編を,PWS実行委員会の定める選考委員会における審議を経て表彰します。詳しくはPWS論文賞についてをご参照下さい.
UWS論文賞
UWS実行委員会では、UWS論文賞を設けました。UWSセッションにおける発表論文のうち、セキュリティ・プライバシーと高いユーザビリティを両立させるような、技術だけではない分野横断的な研究の発展とその成果普及の促進へ貢献すると認められる論文1編を、CSSプログラム委員会UWSトラックのプログラム委員による審議を経て決定し、当該論文の著者全員を表彰します。詳しくはUWS2018のWebページをご参照ください。
奨励賞
論文集に掲載されたすべての論文を審査対象とし,論文賞には到らなかったが,評価者の評価が高かったもの,新規性の評価が高かったものを,今後への期待や激励の意味を込めて表彰します.
CSS論文賞について
本シンポジウムでは,コンピュータセキュリティ技術の発展や啓発に寄与する論文の著者を表彰することを目的としたCSS論文賞を設けております.CSS論文賞には,新規性,信頼性,実用性を兼ね備える優秀論文を表彰する最優秀論文賞及び優秀論文賞と,将来性のある学生を奨励する学生論文賞,および次の時代を切り開く独創的な研究を表彰するコンセプト論文賞の4つの論文賞があり,会期中の表彰式にて同年の論文賞を表彰しております.各論文賞の要件は次のとおりです.
- CSS最優秀論文賞(最大2件程度)
論文集に掲載されたすべての論文を審査対象 (論文執筆要領を著しく逸脱した論文は審査対象とならないことがあります) とし,新規性,信頼性,実用性の観点で特に優れた論文が発表された場合,その著者を表彰します.過去の受賞経歴を問いません. - CSS優秀論文賞(4件程度)
論文集に掲載されたすべての論文を審査対象 (論文執筆要領を著しく逸脱した論文は審査対象とならないことがあります) とし,新規性,信頼性,実用性の観点で優れた論文の著者を表彰します.過去の受賞経歴を問いません. - CSS学生論文賞(10件程度)
論文集に掲載された論文のうち,講演者が学生の論文を審査対象 (論文執筆要領を著しく逸脱した論文は審査対象とならないことがあります) とし,新規性,信頼性,実用性の観点で優れた論文の著者を表彰します.ただし,過去に学生論文賞を受賞した者が講演する論文は本賞の審査対象とはなりません.また,学生には社会人特別選抜またはそれに類似する制度で入学した者を含めません. - CSSコンセプト論文賞(1件)
論文集に掲載されたすべての論文を審査対象 (論文執筆要領を著しく逸脱した論文は審査対象とならないことがあります) とし,新規性が極めて高い論文を表彰します.過去の受賞経歴を問いません.なお,本賞はコンセプト論文賞選考委員会(選考委員長:CSEC研究会主査,選考委員:CSEC研究会幹事,CSSプログラム委員長,CSSプログラム委員)により審査され,同委員会の委員長であるCSEC研究会主査により表彰されます.
CSS最優秀論文賞及びCSS優秀論文賞と学生論文賞の選考は,当該分野に関して高い専門的知識を有する査読者2名による1次評価,各トラックのプログラム委員会による2次評価,トラック横断で各賞を最終選考する3次評価の3段階からなります.