セキュリティやプライバシーに関する研究の裾野は大きく広がってきており、さまざまなテーマで高度な技術によりセキュリティの担保やプライバシーの保護が行われています。 その中で、セキュリティやプライバシー保護技術で守られる対象が、果たしてその本来の目的を効率的に、そして高い満足度で実現されているか?というユーザビリティの観点での調査・研究・開発が大きな注目を浴びています。 ユーザビリティとセキュリティ・プライバシーの関係については、セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会主催の「SOUPS論文読破会」で2011年よりトレンド把握や専門知識の蓄積を行ってきました。 そこで得た知識などをさらに発展させ、セキュリティ・プライバシーを対象としたユーザブルな調査・研究・開発を行い、成果の発表と議論を行う場が求められます。
ユーザブルセキュリティワークショップ(Usable Security Workshop, UWS)は、セキュリティ・プライバシーと高いユーザビリティを両立させる、 技術だけではない分野横断的な研究の発展とその成果普及の促進、さらに研究者や技術者の相互協力の促進を目的とします。
UWS2026開催概要
- 開催日:2026年10月19日(月)~10月23日(金) CSS2026期間中
- 場所:アクトシティ浜松
ユーザブルセキュリティワークショップ2026(UWS2026)はコンピュータセキュリティシンポジウム2026(CSS2026)の併催ワークショップとして開催されます。
参加登録
UWS2026への参加登録は、コンピュータセキュリティシンポジウム2026(CSS2026)への参加登録と共通となっております。 (ご登録頂くと、CSS2026および併催の他のワークショップのセッションにも参加が可能です。) 参加登録手続きの詳細につきましては、CSS2026の参加登録ページをご参照ください。
論文投稿登録
- 論文発表申込締切(アブストラクト):2026年8月3日(月) 24:00
- 最終原稿締切(カメラレディ):2026年8月21日(金) 17:00
UWS2026への論文投稿受付は、コンピュータセキュリティシンポジウム2026(CSS2026)への論文投稿受付と共通となっております。 UWS2026でのご発表を希望される場合、発表申込の手続きにおいて発表申込先を選択する際に「UWSトラック」を選択ください。
UWS2026企画
UWSチュートリアル
生成AIを用いた質的データ分析
講演者
- 山口 一青 (東京大学)
- 金岡 晃 (東邦大学)
- 小林 良輔 (東京大学)
近年、質的研究において生成AIを活用する試みが広がっている。インタビュー記録や自由記述の分類、コード候補の作成、テーマの整理など、分析過程のさまざまな局面で生成AIを用いることが可能になりつつある。 一方、質的分析は、発言内容だけでなく、それが生じた文脈、参加者の立場、語りの曖昧さや矛盾、少数意見や例外的な事例を含めて意味を解釈する営みである。生成AIによる整合的な要約や分類が、必ずしも研究対象となる人々の経験や語りの文脈を適切に捉えるとは限らない。また、生成AIがもつ一般的な知識や典型的な説明と、研究データから導かれた知見との境界が曖昧になる可能性もある。こうした特性を踏まえ、生成AIを分析過程にどのように位置づけるのかが問われている。 本チュートリアルでは、まず山口氏より、「質的研究におけるAI利用は何が問題で、何が問題ではないのか」をテーマとして、関連する先行研究を参照しながら、質的研究に生成AIを利用する際の可能性と方法論上の論点を整理する。生成AIにどのような作業や判断を委ねうるのか、研究者はどのような解釈責任を負うのか、また、出力の変動性や分析過程の不透明性を踏まえながら、分析手続をどのように記録し、透明性と検証可能性を確保できるのかを論じる。 続いて、金岡氏より、SOUPS、USENIX Security、ACM CHI等の関連国際会議における、生成AIと質的研究・ユーザスタディをめぐる近年の動向を紹介する。 最後に、山口氏・金岡氏をパネリスト、小林氏をモデレータとして、質的分析において生成AIはどのような役割を担いうるのかを議論する。生成AIの活用によって得られる新たな視点や分析規模の拡張と、文脈の捨象、データとモデル由来の知識の混在、出力の変動性といった課題をどのように評価すべきか。さらに、研究者の解釈責任を維持しつつ、分析手続の透明性と検証可能性をどのように確保できるのか。具体例を交えながら、質的研究における生成AIの可能性と限界、その位置づけを多角的に検討する。
UWS招待講演
人はなぜ誤情報に騙され、広めてしまうのか ― 認知・行動・AIからみた介入の設計
講演者
- 笹原 和俊 (東京科学大学)
生成AIの普及により、偽の画像や動画を誰もが容易に作れる時代になった。しかし、誤情報が広がる背景には、生成技術の進歩だけでなく、人間の認知特性やSNSの情報環境が深く関わっている。本講演の前半では、人が見慣れた情報や自分の信念に合う情報を正しいと判断しやすいこと、そして、こうした認知の傾向がボットやエコーチェンバー、推薦アルゴリズムなどによって増幅されることを、計算社会科学の研究をもとに紹介する。後半では、利用者自身に誤情報を見抜くことを求めるだけでも、検出技術の精度を高めるだけでもない対策に注目する。プレバンキング、警告表示、ディープフェイク検出ツールを用いた実験を紹介しながら、人間の認知や行動の特性を踏まえ、より適切な判断を支える介入をどのように設計できるかを考える。さらに、複数のAIが共存する「マルチAI環境」において、人は何を信頼の拠り所とするのかという「マルチトラストアンカー問題」にも触れる。AIによる判断や助言をどのように集約・提示すれば、人の判断を適切に支援できるのかを議論する。
パネルディスカッション:見抜けないことを前提に、何を設計するか
パネリスト
- 笹原 和俊 (東京科学大学)
- 坂本 一仁 (静岡大学)
- 戸田 穂乃香 (NTT社会情報研究所)
モデレータ
- 藤田 彬 (情報通信研究機構)
UWS企画セッション
ユーザスタディの「想定外」から学ぶ―研究のつまずきと立て直しの事例検討会―
ユーザスタディを伴う研究では、参加者募集、調査設計、尺度、インタビュー、分析、実務導入などの各段階で、当初の想定どおりに進まないことがあります。本セッションでは、そうした研究上の「想定外」と、それに対してどのような判断や修正を行ったかを、複数の登壇者からライトニングトーク形式で共有していただきます。単なる失敗談の紹介ではなく、最終的に成果に結びつくまでの過程や、研究を立て直した経験を中心に取り上げ、その後のパネルディスカッションを通じて、ユーザスタディに共通するつまずきと対処の知見を整理します。
司会
- 垣野内 将貴 (筑波技術大学)
UWSワークショップ
AI時代、人を騙す攻撃に立ち向かうには?
フィッシングやオンライン詐欺への対策では、ユーザに不審な点を見抜き、適切に判断することを求める方法が広く用いられてきました。しかしながら、文章、音声、映像などを容易に生成できる技術が普及し、攻撃者が相手や状況に応じて内容を調整できるようになる中で、ユーザの注意力や知識だけに依存して被害を防ぐことには限界があります。本ワークショップでは、こうした問題意識を、具体的なサービスやシステムの設計課題として捉えます。具体的な詐欺やなりすましのシナリオをもとに、ユーザが誤った判断をする可能性を前提とした防御の仕組みを考えます。参加者はグループに分かれ、攻撃者はどのような攻撃をしてくるか、ユーザはどのような状況で騙される可能性があるか、システム設計者はどのような仕組みでユーザを守れるか、攻撃者、ユーザ、参加者になりきり発想を膨らませることで、技術進展が激しい現代の防御策を考案します。また、考案した対策によって生じるユーザの負担、プライバシーへの影響、アクセシビリティ上の課題、誤検知の影響などについても検討します。
想定する参加者
- ユーザブルセキュリティ分野を研究する学生や若手研究者
- HCI、情報セキュリティ、心理学、行動科学等に関心のある方
- セキュリティ警告、本人確認、認証等の設計や評価に関心のある方
- フィッシング、なりすまし、オンライン詐欺への対策に関心のある方
- ユーザスタディの知見を具体的なサービスや仕組みの設計へ応用したい方
グループワークは現地参加者のみとなります。 当日の参加も可能ですが、参加者多数となった場合は事前に参加申込をされた方を優先いたします。 参加申込みはこちら
ファシリテータ
- 坂本 一仁 (静岡大学)










