論文募集要項
UWSトラックでは、ユーザビリティや人間的側面でのセキュリティ・プライバシー技術の調査・研究・開発に関する論文を募集します。 研究テーマはユーザビリティに配慮したセキュリティシステムの構築、セキュリティシステムにおける人間的側面での調査、ユーザの行動や認識を中心に置いた評価・調査など広く含みます。 また、人間中心のセキュリティ・プライバシーに関する研究であれば、ユーザ調査の実施に限らず様々な手法による研究を受け付けます。
Important dates
- 論文発表申込締切(アブストラクト):2026年8月3日(月) 24:00
- 最終原稿締切(カメラレディ):2026年8月21日(金) 17:00
論文投稿(発表申込)
UWS2026への論文投稿受付は、 コンピュータセキュリティシンポジウム2026(CSS2026)への論文投稿受付と共通となっております。 UWS2026でのご発表を希望される場合、発表申込の手続きにおいて発表申込先の選択時に「UWSトラック」を選択してください。
論文賞
2023年度までのUWS各論文賞は、CSS論文賞に統合されました。CSS論文賞についてはCSS2026の表彰に関するページをご参照ください。
UWSへの論文投稿を検討される皆様へ
セキュリティとプライバシーに関して人間を扱った実験を行うときには、倫理的な配慮等の十分な注意が必要であり、UWSに投稿される論文にはこうした配慮の必要な研究が多く含まれると思います。 また、信頼性や再現性の向上に貢献することから、研究の透明性についても検討が必要です。 以下で研究の段階ごとに推奨事項や参考資料を紹介しますが、まず全体にひととおり目を通しておくことをお勧めします。
■ 研究を始める前に
人間を扱った実験実施時における注意事項:Common Pitfalls
セキュリティとプライバシーに関して人間を扱った実験を行うときには、十分な注意が必要です。 これまでセキュリティとプライバシーの技術に強くフォーカスした研究をしていた場合、これまでの研究とは異なるポイントが求められるようになります。 論文化したときにそういった注意すべきポイントを逃してしまうことがよく起こるようで、しかもそれらにはある程度の共通する要素があるようです。 Microsoft Research(当時)のStuart Schechterは、その共通する要素を文書化し、それを避けるためのポイントを合わせて示しました。それが”Common Pitfalls in Writing about Security and Privacy Human Subjects Experiments, and How to Avoid Them“です。 UWSでも、ユーザ実験を行うような論文ではこの文書を一度読まれることをお勧めいたします。和訳版「Stuart Schechterドキュメントの和訳 / Japanese translation of Stuart Schechter’s article.」がSPT(セキュリティ心理学とトラスト)研究会有志により作成されています。そちらもご参考ください。
倫理的配慮の実践
UWSでは、ユーザ調査参加者を保護するための倫理的配慮の実践を推奨いたします。また、実施した倫理的配慮について、論文内でご報告いただくことを推奨します。 上記含むサイバーセキュリティ研究全般に関する倫理的懸念がある場合は、以下において相談を受け付けています。
■ 研究報告にあたって
透明性の高い研究報告と配慮された表現
UWSでは、国際的なユーザブルセキュリティコミュニティの最近の動向を踏まえ、透明性の高い研究報告を推奨します。 研究報告における透明性は、信頼性や再現性の向上に寄与し、ひいては研究の質の向上に繋がると考えています。 UWS(およびCSS)ではページ数制限があるため、研究の手続きの全てを詳細に報告することは現実的には難しいと思いますが、下記に示す論文を参考に、特に推奨されている項目については論文内で報告いただくことを歓迎します。 また、調査が倫理審査委員会(IRB:Institutional Review Board、ERB:Ethics Review Board)やプライバシー影響評価(PIA:Privacy Impact Assessment)の事前承認を経て実施されたことをご説明いただくことには一定の有用性があると考えますが、 一般には各委員会の評価基準が外部からは見えないことなどから、承認されたという事実を記載するだけでは不十分であると考えており、具体的にどのような倫理的配慮を実施したのかをご説明いただくことをご検討いただければと思います。
UWSでは、上記を踏まえ、以下の項目について論文内で出来る限りご説明いただくことを推奨いたします。 ただし、これらはあくまでUWS2026プログラム委員会からの推奨事項であり、必須事項ではございません。実践については研究者のご判断に委ねます。
[2026/07/31追記] CSS2026では論文執筆要項に記載の通り、8ページの制限外で「付録」(最大5ページ)や「研究倫理に関する記載」を設けていただくことが可能です。UWSへの投稿を想定した論文において、付録および研究倫理に関する記載をどのように書けばよいかについて、具体例(「推奨する説明内容の例」(本追記により一部項目を追加)、「研究倫理に関する記載の例」、「付録に含める補足情報の例」)をまとめました。 なお、これらはあくまで一例であり、すべてを網羅しているわけではなく、かつすべての項目への対応を期待したものではありません。同様に、記載できていないことで、投稿が妨げられることもありません。「何を書けばよいか分からない」という方のご参考になればと、作成しました。各情報を本文、付録、研究倫理に関する記載のいずれに記載することが適切か、ページ制限を踏まえて何を優先して記載すべきかは、研究目的・方法・対象などの研究内容によって異なります。以下の例を参考にしつつ、最終的な記載内容・記載場所については著者ご自身のご判断でお願いします。適切な記載場所の判断にあたっては、改めてCSS2026論文執筆要項もご確認ください。
推奨する説明内容の例:
- 調査参加者の募集方法
- 調査参加者の属性(年齢・性別・居住国等)や人数、その妥当性
- 調査参加者への報酬の有無・金額 (およびその妥当性)
- 調査参加者に調査目的・調査内容・参加に伴う潜在的なリスク・データの取り扱い方法等について伝え、理解を得た上で参加同意を取得したか(およびその説明方法・説明内容)
- 調査の具体的な手続き(調査の根幹となる質問や評価指標についてはその具体的内容も。例えば、質問文原文の記載等)
- 調査参加に伴うリスクの発生や倫理的問題が考えられる場合、それにどのように対処したか
- 倫理審査委員会等で承認された事実だけでなく、倫理的な課題やその影響、軽減策といった具体的な倫理的配慮の実践の説明を推奨します
- 具体的な分析手法および分析結果(質的研究ではコーディング手法やコードブックの内容等。量的研究では検定手法や統計検定量等)
研究倫理に関する記載の例:
- 倫理審査委員会やプライバシー影響評価の承認とその根拠
- 個人情報の取り扱いにおける配慮事項
- 例:匿名化、適用される法令等の遵守(個人情報保護法、GDPRなど)、管理場所
- インフォームドコンセント
- 同意を得るために実施した説明内容(例:研究目的、手順、データの取り扱い、参加者の権利(回答拒否、オプトアウト))
- 報酬の妥当性
- 録音/録画に関する取り扱い(インタビューなどで必要な場合)
- デセプションを含む研究に関する取り組み(研究目的を事前に明かさない研究の場合)
- 例:研究目的を事前に伝えない妥当性、事後説明(デブリーフィング)の方法、事後説明後の再度同意の取得(報酬の取り扱い含む)
- 参加者負担軽減のための配慮(未成年/犯罪被害者など配慮が特に必要な方への調査・実験の場合)
- 投稿データ取り扱いに関する取り組み(SNS等の投稿データ分析の場合)
- 例:データに個人情報が含まれてしまう可能性・対処方法
- 組織・会社の機密情報保護の取り組み(研究データに組織・会社の機密情報が含まれる可能性がある場合)
付録に含める補足情報の例:
- ユーザ調査の質問紙
- インタビューガイド(インタビューの設問を含む台本)
- 参加者属性の詳細
- 同意取得に関する資料
- 調査・実験参加者募集に関する資料
- 依頼メール/メッセージ、募集ポスター、スクリーニング文など
- コードブック
- 調査・実験に利用した資料・素材
- プロトタイプ・調査画面のスクリーンショット、調査・実験でユーザに提示した文章(フィッシングメールなど)、LLMへのプロンプトなど
- 予備調査、追加実験に関する詳細
論文内での表現について:
- 研究者と調査参加者との間に主従関係が存在すると暗示させるような表現(例えば、「subjects」およびその日本語訳である「被験者」)を避け、「(調査・実験)参加者」「(調査・実験)協力者」「回答者」「participants」のような中立的な表現を使うことを推奨します。
- 参考:日本心理学会 倫理規程|ヘルシンキ宣言(2024年の改訂により、「human subject」から「participants」に変更)
研究の透明性に関する参考情報:
研究の透明性に関するより詳細な実践に関しては、「Research Transparency Guidelines」をご確認ください。 また、ユーザブルセキュリティ研究において研究者が論文内で報告すべき項目が以下の論文にて言及されています。 本ページはこれらのガイドラインや論文の情報を参考に作成しました。
- A Systematic Literature Review of Empirical Methods and Risk Representation in Usable Privacy and Security Research
Verena Distler, Matthias Fassl, Hana Habib, Katharina Krombholz, Gabriele Lenzini, Carine Lallemand, Lorrie Faith Cranor, and Vincent Koenig, ACM Transactions on Computer-Human Interaction, Vol. 28, No. 6, Article 43. - Transparency in Usable Privacy and Security Research: Scholars’ Perspectives, Practices, and Recommendations (preprint)
Jan H. Klemmer, Juliane Schmüser, Byron M. Lowens, Fabian Fischer, Lea Schmüser, Florian Schaub, and Sascha Fahl, 2025 IEEE Symposium on Security and Privacy. - How Transparent is Usable Privacy and Security Research? A Meta-Study on Current Research Transparency Practices (preprint)
Jan H. Klemmer, Juliane Schmüser, Fabian Fischer, Jacques Suray, Jan-Ulrich Holtgrave, Simon Lenau, Byron M. Lowens, Florian Schaub, and Sascha Fahl, The 34th USENIX Security Symposium.