招待講演1―Invited Talk―
講演タイトル
量子コンピュータと暗号
講演者
嶋田 義皓
ソフトバンク株式会社 先端技術研究所
日時
2025年1月28日(火)[1日目] 13:00~14:00
会場
リーガロイヤルホテル小倉4階大宴会場
講演概要
本講演では、量子コンピュータと現代の暗号技術の関係について紹介する。まず量子コンピュータの基本原理と現状の計算能力に触れ、量子アルゴリズムが公開鍵暗号と共通鍵暗号の安全性に及ぼす影響を明らかにする。また、誤り耐性量子コンピュータの実現に向けた研究開発の先端動向と、ショアのアルゴリズムで2048ビットの整数の素因数分解を行う場合に必要となる量子コンピュータのリソース見積りの比較から、誤り耐性量子コンピュータの出現に備えた耐量子計算機暗号への移行時期について議論したい。
略歴
博士(工学、公共政策分析)。東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。2008年日本科学未来館科学コミュニケーター、2012年科学技術振興機構戦略研究推進部主査、2017年研究開発戦略センターフェローなどを経て、2024年9月より現職。専門分野は、物性物理、ICT、科学コミュニケーション、科学政策。著書に『量子コンピューティング 基本アルゴリズムから量子機械学習まで』(オーム社)。
招待講演2―Invited Talk―
講演タイトル
講演者
松本 泰
特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会 フェロー
日時
2025年1月29日(水)[2日目] 17:30~18:30
会場
リーガロイヤルホテル小倉3階大宴会場
講演概要
2000年に成立した電子署名法は、公開鍵暗号が法制度に組み込まれたという意味において画期的な出会いでした。それから20数年経った現在、まだ公開鍵暗号と社会の素敵な関係を築いたとは言えないかもしれませんが、この素敵な関係こそがデジタル社会におけるトラストの確立に大きく貢献すると考えらます。 本講演では、Socity5.0実現などが目指されているデジタル社会において、なぜ公開鍵暗号技術などを駆使したデジタルトラストが重要なのか説明するとともに、併せて今後の暗号・セキュリティ分野の研究に対する期待を述べます。
略歴
2001年よりNPO JNSAにて、PKIの相互運用技術確立のためのChallenge PKI Projectを立ち上げる同時に2023年末までJNSA PKI相互運用技術WGリーダ務める。2024年よりJNSAフェロー。その他2006年より電子政府における暗号技術の検討会CRYTPRECの委員を務めるなど公開暗号技術を活用したデジタルトラストに関わる活動を行ってきた。
こうした活動などにより、2007年に経済産業省 商務情報政策局長表彰「情報セキュリティ促進部門」受賞。2023年に情報セキュリティ大学院大学・情報セキュリティ文化賞受賞。